海外転職の第一関門、書類審査を通過するためには、履歴書・職務経歴書の書き方に気をつける必要があります。

「それは国内転職も同じではないか?」と疑問に思われるかもしれませんが、海外転職のほうがより工夫が必要です。

その背景として、現地に採用担当がおらず、マネージャークラスの方が本業の合間に採用活動をしているため、履歴書・職務経歴書をじっくり見たり、大人数と面接したりする時間が確保できず、書類審査の段階で厳しく候補者を絞りこむケースがあるからです。

忙しい企業様にわかりやすく簡潔に、かつ、活躍するイメージを持ってもらえる、魅力的な履歴書・職務経歴書の書き方のポイントをご説明します。

【履歴書】

履歴書テンプレート

JIS履歴書テンプレート

1.写真

履歴書で最初に目に入るのは、写真です。国内転職とは異なり、海外の企業様にとって、採用された人が会社の顔になると言っても過言ではありません。
身だしなみや写真映りには細心の注意を払い、良い印象を与えるものを準備しましょう。

・サイズ

縦40mm×横30mm

・有効期間

履歴書の提出日から3カ月以内のもの

・背景

「白」「青」「グレー」のいずれか

・身だしなみ

フォーマルな服装で臨んでください。まれにTシャツや作業着で撮った写真を見ますが、企業様の印象は良くありません。「ルールに従えない人」「だらしない人」という印象を与えてしまいます。髪は顔まわりがすっきりするよう、まとめましょう。

・姿勢

口は軽く閉じ、歯が見えないようにします。少し口角を上げると好印象です。見上げたり、見下ろしたりしないよう、適度に顎を引きます。背筋を伸ばし肩を開いて、リラックスした状態で撮影すると穏やかな印象になります。

上記のルールが硬すぎる、と思う方いらっしゃるかもしれません。しかし、硬すぎてマイナスになることはありません。むしろ「しっかり準備している」「真面目そうだ」という良い印象を与えます。履歴書にふさわしい、清潔感のある写真を準備しましょう。

2.職歴

・西暦を使用する

履歴書、職務経歴書双方に言えることですが、海外転職の場合は必ず西暦で記載しましょう。日本人が採用・面接を行うことになっていたとしても、その過程で一緒に働く現地の方が書類を目にする可能性も十分あります。

・イレギュラーな退職理由

一般的には自己都合で退職をする場合は「一身上の都合により退社」と記載します。しかし、中には「会社都合」「介護のため」など自身ではやむを得ない理由もありますよね。そのようなケースでは、職歴には簡潔に記載し、詳しい事情を職務経歴書の「退職理由」に書くようにします。なぜなら、自己都合以外の転職を「転職回数」にカウントしない、もしくは寛容な企業様が稀にあるからです。海外転職の際、企業様は「転職回数」を厳しく見る傾向があります。そのため、「どうしようもない理由」はわかりやすく明記しておくことをお勧めします。

・ブランクがある場合

経歴に3か月以上のブランクがあるのに何も記載がない場合、必ず「何をしていたか」を面接で質問されます。しかし、ブランクある方のほとんどは、あまり触れてほしくないと考えています。

したがって、尋ねられる前に記載しておくことをお勧めします。書く場所は、職歴の中にブランク部分に書くか、「現在に至る/以上」の後に書くのが一般的です。

書き方は、
〇〇年〇月~〇〇年〇月 
転職活動(介護・語学学校に通学など理由)をしておりました
のように、期間と何をしていたかを記載します。

3.志望動機

海外転職の志望動機には、会社への志望動機は勿論のこと、「なぜ海外で働きたいのか」「なぜその国で働きたいのか」についても記載しましょう。

企業様は1人を採用する上で、
採用活動費用やVISA代Work Permit代などを含め、かなりの資金を投じます。従って、すぐに辞めてしまわないか、という点を慎重に判断しなくてはなりません。
そのため、「なぜ海外働きたいのか」「なぜその国で働きたいのか」がどれだけ明確で、高い意欲があるかをより注視しています。志望動機には、海外でチャレンジする理由とコミットがあり、長く勤務できるだろうと採用企業が安心できる内容を盛り込みながら書きましょう。

「なぜ海外で働きたいか」
良い例)
海外で半年以上住んでいた経験があり、次は海外でキャリアを形成したい
異なる文化の人とともに仕事をすることで、柔軟な人間になりたい
悪い例) かっこいいから海外で働きたい
「なぜベトナムで働きたいか」
良い例)
ベトナムでの勤務経験・海外出張経験がある
ベトナムに複数回旅行でベトナムに足を運んでおり、文化・国民性を理解している
ベトナムの経済成長が著しく、その環境で自己を成長させたい
悪い例)
ベトナムに行ったことはないが、職務内容に魅力を感じたから

特に「なぜその国で働きたいか」は重要です。
すぐに辞めてしまう人の退職理由として多数を占めるのが、生活水準や食文化・環境の期待値とのギャップです。
そのため、企業様はその国に親和性が感じられない方を敬遠する傾向があります。

その国に行ったことはないが、その企業で働きたいと強く志望する場合は、
・職務内容に魅力を感じている理由
・その国について、生活情報・交通情報などを深く調べたこと
・内定前に現地に足を運び、生活や食が合うか確認しようと思っていること
・新しい環境でも問題ないというエピソード

などを志望動機に盛り込むことで、明確な意志をアピールし、書類選考通過の可能性を引き上げましょう。

【職務経歴書】

職務経歴書テンプレート

職務経歴書テンプレート

1.職務要約

大学卒業後から現在までの職務経歴を、4~5行程度にまとめて記載します。
企業様がパッと見て「どういう人物なのか」を知る重要な項目です。
特に本命の企業様がある場合は、求人票から『求める人物像』を見出し、キーワードを入れ、興味を持ってもらえるように工夫しましょう。

盛り込む項目は、
・業界
・職種
・簡潔な業務内容
・経験年数
です。

短くても企業様に「もっと知りたい」と思っていただけるようにまとめることが大切です。

2.職務経歴

職務要約を見て興味を持った企業様が次にチェックをするのは職務経歴です。

職種によって企業様がどんな情報を知りたいかを理解し記載することで、求人票との親和性を確認します。
「求める業務内容をこなせそうか」「会社を成長させる人材か」を職務経歴から判断します。
実際にどのような業務をこなしていたかという事実だけを記載しましょう。

勤め先の事業内容は書くのが基本です。
会社名だけでどういう規模の会社で何をしているかをじっくり調べる時間は、海外の採用担当者様にはありません。
企業様が知りたい、業種ごとの項目は以下の通りです。
項目ごとに箇条書きし、見やすくわかりやすい職務経歴にしましょう。

■営業

何を扱っていたか、どのような実績があるかを明確に記載します。
特に実績は、「それがどの程度すごいことなのか」がわかるよう、「〇人中〇位」や「担当エリアの過去一番の実績」など、定量的に素晴らしさをアピールしましょう。

【所属部署】〇〇部〇〇課(〇〇名)
【役職】なし/ポジション名
【取扱商品】品名・素材など 例)自動車や機械に使われる金属部品
【担当エリア】例)東海エリア
【客先】代表的な客先と担当顧客数 例)〇〇自動車、〇〇工場など約〇〇社
【担当業務】
 例)新規営業40:既存営業60
 例)新規営業はどのように対応していたか(テレアポ・飛び込みの有無等)
 例)既存営業はどのように対応していたか(訪問・電話頻度等)
 例)業務範囲(ニーズのヒアリング、見積もり作成、アフターフォロー、アップセル等)
【実績】
 例)昨年対比や個人KPIに対する達成率(課内における業績の順位等)
 例)社内外での表彰

※マネジメント経験がある場合は以下も追加
【マネジメント人数】〇名(外国人がいる場合は、うち〇名外国人と記載)
【担当業務】
 例)どのような点をマネジメントしていたか(数値管理・進捗管理・教育・KPI設定等)
 例)上長にどのような報告をしていたか(チームKPIの報告・人事評価等)

■ITエンジニア

どの言語、どの環境が使用できるか明確にすることが大切です。
プロジェクトごと担当している場合には、プロジェクト名で区切って記載します。

【所属部署】〇〇部〇〇課(〇〇名)
【役職】なし/ポジション名
【取扱商品】品名・素材など 例)自動車や機械に使われる金属部品
【担当エリア】例)東海エリア
【客先】代表的な客先と担当顧客数 例)〇〇自動車、〇〇工場など約〇〇社
【担当業務】
 例)新規営業40:既存営業60
 例)新規営業はどのように対応していたか(テレアポ・飛び込みの有無等)
 例)既存営業はどのように対応していたか(訪問・電話頻度等)
 例)業務範囲(ニーズのヒアリング、見積もり作成、アフターフォロー、アップセル等)
【実績】
 例)昨年対比や個人KPIに対する達成率(課内における業績の順位等)
 例)社内外での表彰

※プロジェクトごとの場合は【所属部署】を【プロジェクト名】〇〇向け〇〇(〇名)に変更

アプリケーションエンジニアやWEBエンジニアで成果物を開示できる場合は【ポートフォリオ】の項目を追加し、URLなどを記載すると効果的です。

■生産管理・品質管理・品質保証

どの業務範囲まで担当していたかを明確にします。KPIがあった場合には達成率を実績に記載し、その具体的な取り組みは自己PRに書きましょう。

【所属部署】〇〇部〇〇課(〇〇名)
【役職】なし/ポジション名
【取扱商品】品名・素材など 例)自動車や機械に使用される金属部品
【担当業務】
 例)需要予測・原価管理・発注先選定・生産計画・生産・生産制御など
 例)PDCA導入・ISOの知識理解
 例)〇〇工場立ち上げ経験
【実績】
 例)生産効率向上の実績、不良率低下の実績

■工場長

海外の工場では、日本人は工場長のみであとは現地の方、という組織は珍しくありません。
それゆえ、「営業も工場管理もできる工場長」と柔軟に対応できる人材を求めるケースがあります。
幅広く業務に着手していたことがわかるよう記載しましょう。

【工場名】〇〇工場
【役職】工場長
【工場規模】〇名(うち日本人〇名)
【取扱商品】例)自動車や機械に使われる金属部品
【工場内設備】例)成型機(射出・アルミ)・CNC旋盤加工機・プレス機・溶接機
【担当業務】
 例)業務管理(生産管理・品質管理)・人材管理について
 例)経営力(先を見据えた行動等)・営業力について
 例)日本側との関わり方

■販売サービス

接客はもちろんのこと、それ以外の事務回り、マネジメント関連等も大切です。
成功体験やエピソードは自己PRに書きましょう。

【所属部署】〇〇部〇〇課(〇〇名)
 【役職】なし/ポジション名
 【取扱商品】具体的に 例)日本人向け不動産売買・賃貸
 【担当業務】
  例)業務範囲
  例)外国人相手の接客サービスに関して
 【実績】
  例)昨年対比や個人KPIに対する達成率(課内における業績の順位等)
  例)社内外での表彰

  ※マネジメント経験がある場合には以下も追加
 【マネジメント人数】〇名(外国人がいる場合は、うち〇名外国人と記載)
 【担当業務】
  例)どのような点をマネジメントしていたか(数値管理・進捗管理・教育・KPI設定等)
  例)上長にどのような報告をしていたか(チームKPIの報告・人事評価等)

■事務・秘書・経理・財務

 【所属部署】〇〇部〇〇課
 【役職】なし/ポジション名
 【担当業務】

以下のものから実際に経験があり、ひとりで一貫してできるものを記載します。
知識のみ、勉強中はここには書かず、自己PRに記載しましょう。
特に以下の業務経験がある場合は記載することをお勧めしますが、量が多くなってしまう場合は重要度の高いものを優先してください。

事務職業務内容
・事務
 来客対応
 電話対応
・営業事務
 各種書類発行(見積もり・請求書・契約書・納品書・受領書・請求書・領収書)
・経理/会計
 処理関連(現金入出金・預金入出金・支払・受取手形・支払手形など)
 原価関連(計算業務・予実管理)
 売掛金管理
 月次決算(会社法に基づく計算書類作成等を含む)
 四半期、半期、年度決算(会社法に基づく計算書類作成等を含む)
 各勘定科目の残高チェック、元帳チェック
 連結決算
 決算諸分析
 作成(決算スケジュール・業績報告資料・取締役会資料・KPI資料・経営分析表・
 ABC/ABM分析資料・決算短信・四半期報告書・有価証券報告書)
 損益分岐点分析
 監査対応
・財務
 資金調達
 資金管理
 財務戦略の策定EBITDA
 財務分析
 買い付け
・IPO/内部統制
 キャッシュフロー計算書の作成
 中期経営計画の策定
 業務フローの改善
 年度計画の策定
 RCMの作成
 内部統制構築
 経理諸規定作成
 幹事証券対応
 会計監査の適正性
 資金繰り表の作成

■施工管理

 施工管理はプロジェクトごとに記載しましょう。どのような構造物を管理していたかも重要です。

【プロジェクト名】〇〇の建設 〇名
【役職】施工管理
【場所】例)日本・東京 タイ・シラチャ 等
【構造】建物の高さ、素材、組み立て方法等 例)〇階建て鉄筋コンクリート構造
【担当業務】
 例)予算管理・安全管理・工程管理・品質管理・原価管理など
 例)外国人への対応(通訳の有無等)

■コンサルタント

コンサルタントはどのような業界に、何をサポートしていたかを明確に記載します。

【所属部署】〇〇部〇〇課(〇〇名)
【役職】なし/ポジション名
【担当企業】担当していた業界と担当顧客数
【担当業務】 
 例)どのようなコンサルティングをしていたか 
 例)どのようなゴールを設定していたか
【実績】何か数値的な実績がある場合は記載(業務改善や導入など)

3.資格・スキル

ハードスキルをメインに記載します。
所有している資格、例えば自動車運転免許や簿記、秘書検検定など取得年月とともにもれなく書きましょう。

英語力は必ず書く

海外転職では英語力について必ず聞かれます。
語学不問の求人でも、ゆくゆくは話せるようになってほしいというのが企業様の一般的な考えです。
英語力がどの段階か、どのような経験があるかを必ず記載しましょう。
特に記載することがなくても、最低限勉強中だと書くことをお勧めします。
「学ぶ意思がある」ことを企業様に伝えましょう。

・英語を使用した実務経験(いつ・期間・どのようなやり取りで使用したか等)
・留学経験(いつ・期間・国都市名・授業も英語だったか等)
・海外勤務経験(いつ・期間・国都市名・どんなやり取りを現地の方としていたか等)
・勉強中(語学学校に通っている・英語でコミュニケーションをとる友人がいる等)

4.自己PR

身についている能力と、それを裏付ける経験やエピソードを記載します。

例)コミュニケーション能力
私はこれまで営業として8年間勤めてまいりました。その中で意識していたのが、担当企業様と密に連絡を取る、という点です。月に1度は直接お伺いし会話をすることで、企業様の抱えている課題や経営方針を読み取り、それに合わせてタイムリーに提案することで信頼を勝ち取れていたと自負しております。その結果、解約率を抑えることに成功しました。

応募する企業様や業種に活かせるものを記載しましょう。

自己PRでよく使用する能力
コミュニケーション能力
分析能力
問題解決能力
マネジメント力/リーダーシップスキル
適応力/柔軟性
傾聴力
営業力
協調性
自発性
判断力
計画性

さらに海外にかかわる内容が盛り込めるとさらに良い自己PRになります。
例)異文化の理解、英語力、海外勤務経験等

<まとめ>
あなたの魅力をわかりやすく簡潔に!

海外転職の際の履歴書・職務経歴書のポイントはご理解いただけましたか?

写真でよい印象を持たせる
・在籍期間や取得年月は間違いのないように記載する
・経歴は「求める人物像」を明確にし、適切なキーワードを入れつつ簡潔に記載する
「なぜ海外で働きたいのか」「なぜその国で働きたいのか」を明確に
英語力について記載する
海外やその国への親和性を記載する

上記に注意することで、
企業様が気にしている点を網羅することができます。
海外転職は担当者が忙しいがゆえに、書き方次第で書類通過率が変わります。書類審査を通過するために、魅せる書き方で提出しましょう!

弊社では、いただいた履歴書・職務経歴書とキャリアアドバイザーとの面談内容をもとに、企業様の目に留まるような内容にするための修正やアドバイスをさせていただいております。企業様がどんな人物を求めているか、自分の経歴の何が魅力に感じてもらえるのか、相談することも可能です。ぜひ、弊社に登録し、魅力の伝わる履歴書・職務経歴書でアピールしましょう

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